山初めは赤城山と決めていた。
暮れに友人が撮影した地蔵岳の素敵な霧氷の写真に惹かれルートを探していると、横から夫が「明日の霧氷は100%無理!」と水を差す。ネイチャーフォトを中心に撮影している夫の助言は、悔しいが無視できない。霧氷が期待できないのであれば…と、黒檜山に行くことにした。
かすかな霧氷との出会いに望みを残して。
大沼周辺に雪はほとんど見られない。夫の言葉が思い出され、思わず苦笑いする。
しかし、猫岩から地蔵岳を望めばその先に富士の山。以前見た時よりも裾野が長く見えた。
黒檜山頂手前の岩場には踏み固められた雪が凍って滑りやすくなっていた。軽アイゼンを装着し、一歩一歩大地を踏みしめ進んでゆく。
登りつめれば澄み渡る冬空に雪をまとった山々が白く光って見え、兵庫から埼玉へ転勤となった兄が早速登ったという谷川岳も綺麗に見える。年賀状には「ここは山がいっぱいあって幸せ!」と書いてあった。
毎年1月4日に黒檜に登るという埼玉から来た紳士が、去年は1m程の積雪があったと教えてくれた。冬山初心者の私にとってこの暖冬はありがたいのかもしれない。
駒ヶ岳に向かう頃には、霜が溶け登山道がぬかるみ始めていた。顧みる黒檜の姿は冬山とは思えず、春の訪れさえ感じてしまう。
折り重なる山々は群れをなす馬のようにも見えた。父の転勤で西から東へと移動してきたが、最後に自分が選び落ち着いた場所が群馬でよかったと思う。
さあ、家に帰ろう。
黒檜登山口7:45~猫岩8:00~黒檜山頂9:08~展望台9:10/9:20~社(参拝・脱アイゼン)9:50~平場10:20~駒ヶ岳10:35/10:56~篭山分岐11:00~駒ヶ岳登山口11:38
今年は雪が少ないが、黒檜山頂手前の岩場はアイゼンを装着した方がが安全。