夜明けを見ながらコーヒーを飲もうと起きだしてきたものの、外は小雨がぱらついていた。燕岳まで縦走する予定だという神戸から来た女性のグループが、出発の準備に追われている。
彼女達が出立する頃には、雨も上がってきた。
私は自炊コーナーで早々と朝食をすませ、コーヒーを飲みながら外の様子をうかがっていた。空は、徐々に明るさを増している。
私も下山の準備をして、ザックを小屋脇に置いた。
サブバックを持って、蝶槍へ。雲海から憧れの八ヶ岳、7月に登った北岳が顔をのぞかせている。
静かな夜明けだ。華やかさこそないが、ほんのりと紅をさす雲は趣がある。
山々がゆったりと目を覚ましだす。
今朝も蝶槍を独り占めだった。
岩に腰を下ろし、誰もいない大自然の中で呼吸もゆっくりになる。
イワヒバリの綺麗なさえずりを聞きながら、槍ヶ岳の刻々と変化する姿を静かに見つめた。
蝶槍から続く登山道の先には常念岳…。
「来シーズン、きっと訪れます」
30分程そうしていたが、誰一人として通り過ぎることもなかった。まだまだ槍ヶ岳を眺めていたかったが、そろそろ自分も下山を開始しなければと腰をあげる。
縦走も憧れるが、こうして山でゆったりと過ごす時間も捨てがたい。
小屋にもどると、ほんのりとピンク色に穂高岳が染まっていた。
昨日は、登り始めに雨が降っていたので写真を撮らずに上がってきた。登山道脇に花は少ないが、きれいな赤い実が秋の彩を添えている。
これは、実なのか?花なのか?
三股から蝶ヶ岳を登るなら、君にご挨拶をしないとね。
沢の音を聞きながら森を歩くのも好きだ。
ひんやりとした空気が、肺の奥まで染み渡る。
ウラベニダイモンジソウかと思ったが、長い花びらが1枚しかなく「大」には見えない。違う花なのか?
最後まで、わからず…
清楚なセンジュガンピ。
舟形の苞から可愛らしい姿をのぞかせるツユクサの撮影が、今日の山旅の締めくくりだ。
諦めかけていた私の背中を押してくれた山友に、送り出してくれた家族に、そして山で出会った人達に…感謝で心をいっぱいにして帰路についた。
<今日のルート>
蝶ヶ岳ヒュッテ5:30~蝶槍6:20/6:50~蝶ヶ岳ヒュッテ7:30/8:05~まめうち平10:23~三股11:35~駐車場11:50~高速を使わず一般道で~前橋16:00頃
花の名前を勉強中です。間違いなどお気づきの際は、どうか教えてください。
よろしくお願いします。