静かな山歩きがしたい…まだ、紅葉には早いだろうと思いつつ、久しぶりに車を榛名山に向ける。
秋空にはJazzが似合う気がした。
窓を開け秋風を受けながら、Art Blakeyの「Moanin'livever」をチョイス。
長男が「もう、目を閉じても行けんじゃねぇ?」と言うくらい走り慣れた道。
湖畔の宿記念公園に車を停め、歩き出す。
望んだとおり、静かな山歩き。木々の間から、以前登った烏帽子ヶ岳、掃部ヶ岳が見える。
紅葉はまだまだ始まったばかりだが、時折姿を見せるリンドウと野菊の群れに秋の訪れを感じつつ歩く。
退屈な道だと感じる人もいるだろう。
登ってはくだり、登ってはくだり…小さなピークをひとずつ超えていく。陽だまりの林をぬけながら。
途中でお腹が空いたが、お昼にはまだ早い。
ベンチに腰を下ろし、デザートにと購入した塩豆大福を秋晴れの青空の下で頂く。自然と笑みがこぼれる。
「港が見下ろせる小高い公園」はないが、オフコースの「秋の気配」が思い出され、鼻歌を歌いながら…てくてく。
何の実だろう…去年の秋にもこの鈴なりの赤い実をつけた木を見かけた。青空によく映える。
緑から黄色へ移り始める色合いは、繊細な和の色彩を感じる。
今日は天神峠から入ったこの道は、パワースポットで有名な榛名神社が起点だ。相馬山をパスして、ヤセオネ峠からバスで神社に戻るルート歩きも楽しいに違いない。
今日は風も穏やかだったので、へっぴり腰の私には珍しく磨墨(するす)岩の上に登った。最初の写真がそこからの景色だ。本日一番の眺めで、思わずヤッホーと叫びそうになるのを慌てて飲み込んだ。
相馬山から薄く靄のかかる関東平野を見下ろす。奥武蔵、秩父の山々のシルエットが綺麗だ。
ここでお昼を食べる予定だが、途中で食べた大福がきいている。行動食を少し摂り、下山を開始。
実は地味なルートとはいえ、車道歩きを含めればなかなか長い行程なのだ。のどかなのをいいことに、ついついゆっくり歩いてしまった。ここから、少しペースアップ。
ヤセオネ峠から車道に出る。車通りの少ないオートキャンプ場方面へ曲がり、榛名富士を見上げながら歩く。
湖畔に出ると午後の日差しが水面をキラキラと輝かせている。後ろから来た二人組の山ガールが楽しそうにおしゃべりをしながら私を追い越していった。
駐車場に戻ると、急にお腹が空いてきた。冬場によく行くうどん屋の「おっきりこみ」を久しぶりに食べたくなる。こんな時間でも大丈夫かな…と心配しつつ、あの仁王立ちした磨墨岩のてっぺんをニヤリと見上げ、車を走らせた。
<今日のルート>
湖畔の宿記念公園駐車場8:30/8:45~天神峠8:58~氷室山9:16~天目山9:46~七曲峠10:10~松之沢峠10:58~磨墨岩11:32~相馬山12:35/12:45~ヤセオネ峠13:27~車道歩き~榛名湖温泉ゆうすげ元湯14:05~湖畔歩き~駐車場14:42