以前から気になっていた稲包山には主に苗場の三国スキー場跡から入るコースと、四万温泉側から入るコース、そしてこの三国峠から入るコースがある。この時期ヒルが大量発生するという四万温泉側からは避け、新潟と群馬の県境であり分水嶺でもある本コースをピストンすることにした。
登山口からタニウツギ(谷空木)が、早朝の青い空気の中で美しく咲いている。
カマツカ(鎌柄)? ガマズミ(莢迷) (※コメント欄に、ちょっと面白い話あり)
今日の予定歩行時間は、8時間25分。まずはゆっくり心拍数をあげていく。吸い込まれる早朝の空気は、ひんやりとしていて気持ちいい。
朝日を浴びて輝くウラジロヨウラク(裏白瓔珞)。
この山は何本もの送電線がまたがっており、稜線上には巨大な鉄塔がそびえ立っている。のびゆく先には、去年の秋に登った平標山、仙ノ倉山。
梅雨の晴れ間とあって平日でも他に登山者がいるのではと淡い期待を抱いていたが、私の前にも後にも他に人はいなかった。この山域は熊が多い。鉢合わせになることは避けたいと、ピークの先やコーナーなど見通しが悪いところで「行くぞ」「通るぞ」と声をかける。もちろん熊に言葉は通じないだろうが、人の声が一番効果があると以前読んだ新聞に書いてあった。
この山、地味にきつい。決して緩やかではないアップダウン続きの稜線。覚悟のうえのコース選択だったが、なかなかどうして反骨精神に火をつけてくれる。
春蝉が、今日もにぎやかだ。
送電線の巡視路も枝分かれしてあるからか、静かな山のわりには道がしっかりついている。
ミドリユキザサ(緑雪笹)。
ニガナ(苦菜)。
圧巻の送電線。これを建て、管理する人達がいる…そう思うと感動せずにはいられない。
コミネカエデ(小峰楓)。
ミツバオウレン(三葉黄蓮)。
ツマトリソウ(褄取草・端取草)
目玉がぎょろん…ギンリョウソウ(銀竜草)。
写真を撮りながらも、ほぼ予定歩行時間で山頂到着。自分の歩いてきた道をふりかえる。
別ルートで上がってきている人がいるかと思ったが、山頂もまた自分一人だった。昼食に持ってきたおにぎりを食べながら、帰りの確認をする。もし、登山道で熊に遭遇したらどうするべきか…エスケープルートとして苗場側におりるか、視界も利き電波状況もよい稜線をひとまず戻って再度行くべきか…思えばこれが、虫の知らせだったのかもしれない。
休憩を終え、準備を整えてから「行くぞぉ、通るぞぉ」と3回ほど言いながら歩きだした時、左の林の斜面からガサガサッ、ゴロンゴロン、ガサッガサッと比較的大きな動物が転げ落ちながら逃げていく音!数歩先には、来た時にはなかった動物の足跡。熊で間違いないだろう…この後、私の「行くぞぉ、通るぞぉ」の掛け声が一段と大声になったことは言うまでもない。
池の平湿原でイワウチワと間違えた、イワカガミ(岩鏡)。
帰りも4時間弱の行程。熊との再会は遠慮したいが、焦ってペースをあげバテたり、怪我をしてしまっては大変だ。休憩は鉄塔の下までしないことに決め、できるだけ立ち止まらず行動した。
ベニサラサドウダン(紅更紗灯台)が、この山ではサラサドウダンより多く生息しているようだ。
ニッコウキスゲ(日光黄萓)が、咲き始めた。夏が来たなぁ…と思う。
アカモノ(赤物)
ミミナグサ(耳菜草)とは何となく違う…ミヤマハコベ(深山繁縷) サワハコベ(沢繁縷)かと。
ゴゼンタチバナ(御前橘)が群生していた。帰路の最後に迎えた長倉山のきつい登りも、この花が足元で揺れて元気づけてくれた。
去夏に訪れた苗場山は、雪がまだ残っているようだ。
今回は間違いないと思う…ナナカマド(七竈)。
最後に、クワガタの雌に出会う。
この花の名前は、最後までわからず… (hanarianさんのおかげで、タニギキョウ(谷桔梗)と判明)
行動時間は、休憩も含めて約9時間だった。体力的には、まだ余裕がある。しかし、不測の事態も考えれば、1日の行動時間としては、私にとってこれが最大だと考えるべきだろう。翌日、家事も普段どおりこなせたので、宿泊を含む山行もまたしかり。
<今日のルート>
(三国トンネル新潟側口そば)駐車場=登山口5:20~三国権現5:55~長倉山6:36~キワノ平ノ頭7:55/8:00~稲包山9:47/10:12~キワノ平ノ頭11:53~長倉山13:02/13:08~三国権現13:42~登山口14:15
<お知らせ>
はてなブログ「yamasanpo」のhiromuさんが、素敵なオフ会を企画して下さり、私も参加させていただくことになりました。 御夫婦で参加される方もいるので、私のように女性ひとり参加でも心配いりません。前回の麦草で開かれたオフ会では、冬靴の話も聞けて購入の際にはとても参考になりました。晩夏の尾瀬…いいですよぉ。是非、ご検討ください(^ ^)
※hiromuさんの了解を得て、案内を添付させていただきました。