一昨年登った燕岳から続く稜線の先に行ってみたいと憧れた大天井岳。
そして、去秋の蝶ヶ岳で誓った常念岳に、約束を果たす夏が来た。
洗濯籠を空にして、台所の掃除をし、チョットだけ罪悪感を軽くして(笑)…お母さんの夏休み、1泊2日。
いつもより少し大きなザックと山靴を、布団と大きな犬のクッションも一緒に後部座席へ。
一ノ沢の駐車場で一晩あかしながら、学生時代もこんなことしてたな…ワクワク感も懐かしい。
あれ?1泊多いぞ…気にしない、気にしない。
まだ、日の出前の暗い林道をヘッデンを灯しながら一ノ沢登山口へ。相談所のおじさんと少し会話を交わし、明るみ始めた森の中へ入っていった。
道端のいたるところで、タマガワホトトギス(玉川杜鵑)が薄暗い闇を照らす明かりのように咲いている。
キツリフネ(黄釣船)。
朝日が山端を超え、空気がポワンっと明るくなる瞬間がいい。スッと朝露に光が射す。
王滝のベンチで、朝御飯のおにぎりをパクリ。
センジュガンピ(千手岩菲)。
胸突八丁のあたりは、まさにお花畑。
最終水場の手前で群生していた黄色い花は、サワオグルマ(沢小車)かな…
最後に九十九折の道を登り切り常念乗越に出ると、そこにはドーンと常念岳!
こちらには、明日の帰りに寄る予定だ。
ハクサンオミナエシ(白山女郎花)にとまっているのは、天然記念物のミヤマモンキチョウ。
今日は、まだまだ大天井岳に向かって先へ。
花冠の内側と裂片の内側に長い毛があるので、チシマギキョウ(千島桔梗)かな…
時折、歩いてきた道を振りかえる。雄大な景色に刻んできた自分の小さな一歩一歩を思い、感動する。
タカネヤハズハハコ(高嶺矢筈母子)。花は満開もいいけど、蕾がほころびはじめる様子もいい。
会いたいと願っていたアオノツガザクラ(青の栂桜)。
幾重にも畳み込まれた先は、上高地。
イワヒバリが2羽いるよ…見つけられた?
美しいさえずりを聞かせてくれるイワヒバリ。うちの一羽が、顔の横を掠め飛んで行った。
東天井岳付近。ハイマツ(這松)から出てきて登山道をちょこまかちょこまか横切る複数の小さな影…何の前触れもなく、あまりにも突然で、見るものを疑ってしまった。数秒間、頭が真っ白になった後、ようやく正気を取り戻した。
ライチョウの子供が5羽。よく見れば、母鳥もいる。私の姿に気づいた子供たちは、慌ててハイマツの陰に逃げ込んだ。しかし、母鳥は全く気にとめる様子もなく、砂浴びを始める。
写真を撮りながら、少しづつ距離を詰めていった。最終的に70cm近くまで寄り、モデル撮影会さながらの状態に(笑) それでも、母鳥は平然としていて(というより、まるでポージング) 、その様子に安心した子供たちが戻ってきてくれた。
今日の宿、大天荘に到着。 手続きをすませ、わずか10分で踏める大天井岳山頂へ。
ずっと雲隠れしていた槍の頭が時折姿を現して、その場に居合わせた人たちと一緒に一喜一憂。
予定では牛首展望台まで往復するつもりだったが、雲が多いので中止した。
至福の時間を味わうために、冷凍したパウチドリンクで保冷して下界からしょってきたノンアルコールビール。ぷしゅっ!
あぁ…幸せだあ。
槍ヶ岳へと続く喜作新道を眺めながら、まったり。
夕食後、夕日を見ようと小屋のあたりをフラフラしていると「 雲がとれて、槍が綺麗に見えていますよ」と女性が教えてくれた。
慌てて、山頂に向かう。「多めにしてください」とよそってもらった御飯で足りず、おかわりまでしたお腹が重い…山頂からの景色はあきらめ、途中で撮影ポイントを探した。
小屋に戻ると、食堂にはランプが灯されカフェになっていた。
<今日のルート>
駐車場3:50~一ノ沢登山口4:10/4:20~王滝ベンチ5:45/5:52~最終水場7:58/8:10~常念乗越9:05/9:20~東天井岳12:05~大天荘13:30