赤城のふもとから山歩き

赤城のふもとに居をかまえ、山や花や家族のこと。

北アルプス 室堂から欅平 3泊4日

2019/8/11~8/14

 

 

昨夏、雷鳥沢で夫と次男と私でテント泊をした時に

10数年前まで夫が毎年のように撮影に通っていた仙人池まで次は行こうと話していた。

オープンキャンパスや部活の合宿で次男の都合が合わず話が流れそうになったところ

息子達からお父さんとお母さんで行って来なよと提案があり

テント泊を小屋泊にして計画を実行することにした。

 

 

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前日は立山駅の駐車場で車中泊

駐車場からケーブルカーの駅に抜ける地下道ではコウモリ君がお出迎え。

 

 

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ケーブルカーの始発便に午前4時から並んで、何とか滑り込みセーフ。

美女平で乗り継いだバスの車窓から、ひと際目を引く剱岳の姿。

これから始まる山歩きに期待がふくらむ。

 

 

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みくりが池は深い翡翠色をして、次男と歩いた立山三山を映している。

去年はあいにくの天気だったから、この姿を次男にも見せたかったな…

 

 

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子供たちが幼かった頃に歩いた地獄谷のルートは今年も立入禁止になっていて

風に乗って温泉たまごのような硫黄の匂いを漂わせていた。

 

 

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1日目の山場。

別山乗越まで照りつける日差しの中で僅かな日陰を見つけては一息入れ、登り上げる。

そこには岩の表情ひとつひとつまで確認できるクリアな剱の姿があった。

 

 

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剱沢に向かって流れるようなカールの曲線美!

 

  

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奥大日、大日岳へと続く稜線も気になるなぁ…

 

 

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いざ、剱の懐へ!

 

 

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気持ちいい~♪

 

 

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ぐんぐん剱が近づいてくる。

 

 

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10年程前、家族でこのテン場に来た時の記憶といえば

ゴロゴロの岩場でなかなか寝られなかったことと

バカでっかい月(おそらくスーパームーン)が昇ってきて

昼間のように明るい夜に子供たちと驚きの声をあげたこと。

 

あの頃よりテン場の岩ゴロゴロ感がなさそうで、今なら快適に寝られるような気がした。

夫は気のせいだって言うけどね。

 

 

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ここから先、私にとっては初めての道。

 

 

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そして、初めての雪渓歩き。

 

 

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ついつい足を止めて写真を撮り

慌てて夫を追いかける。

 

 

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私はビビリハイカーだから

剱岳に登りたいとは今までもこれからも思わないだろう。

しかし、その剱岳に惹きつけられてやまない人の気持ちはわかるような気がする。

 

この日も八ツ峰かチンネかアタックを終えたクライマーが

剱沢に戻っていく姿があった。

その顔は疲労と幸福に満ちていてた。

 

 

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雪渓をなぜてくる風はひんやりと冷たく

火照った体に心地いい。

 

雪渓から上がった後の夏道は、崖崩れ跡についた踏み跡程度のトラバース。
今回のコースの中で一番気を遣う場所だった。

真砂沢ロッジについて、緊張から解き放たれる。
夫や同宿の方々と飲んだビールは最高に美味しかった。

 

 

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夜は思いのほか暑く午前2時頃にはすっかり目が覚めてしまった。

生水のまま飲まないようにと注意書きがあったので日中用に水を煮沸消毒しながら

月が沈んだあとに広がった満天の星空を見上げると

ペルセウス座流星群の流れ星が時折夜空を駆けていった。

 

朝焼けの空を撮影して朝食をとり

予定より1時間早く出発。

 

 

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ハシゴ谷乗越から黒部ダムへ続くルートへの分岐で河原に降り

珈琲を淹れて飲んだ。 

 

小屋で朝食の片づけをして、もう一度ここで湯を沸かすのは二度手間だが

自然の中で味わう珈琲の美味しさは格別で、その手間をさえ幸福だ。

 

 

  

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雪解けの水はどこまでも澄んでいて美しい。

 

 

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沢から離れ540mほど仙人新道の急登で標高を上げる。

じりじりと照りつける太陽にむかって

歩くときは雲に隠れていてほしいと身勝手なお願いをしながら

時折、谷から上がってくる風に一服の涼を得る。

 

稜線上に仙人池ヒュッテの赤い屋根が見え、足取りが僅かに軽くなった。

 

 

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仙人池ヒュッテでは、夫が以前一緒に写真を撮り歩いた方が手伝っていて

思い出話に花が咲いたようだ。

名物女将さんは、もう7年程前から山に上がってきていないとのことだったが

今でも御健在とうかがって、夫はとても嬉しそうにしていた。

その女将さんや常連さんたちとの集合写真に17年前の夫の姿もあり

女性陣で「昔は痩せていい男だったんじゃない」と談笑した。

 

 

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夕方には剱山頂に雲がかかり峰々も顔を出したりひっこめたり。

夜には晴れることを願いながら就寝した。

 

 

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午前2時。

明るく夜空を照らしていた月が剱岳の向こう側へと沈み

夜空は満天の星空へと姿を変えた。

 

 

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就寝前に私たち夫婦も含めたカメラマンが

ペルセウス座流星群のことなどを話題に盛り上がっていたので

カメラマン以外の方も数人表に出て一緒に星空を見上げた。

3分に1度ほどの間隔で星が流れ、そのたびに「見えた!」と歓声が上がり

その場にいた人々の間で不思議な一体感が生まれる。

 

 

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私にとって初めての星空撮影。

帰宅後、流れ星が写っていると盛り上がる私のPCを覗き込んだ夫から無情の一言。

あ、それは飛行機だから。

 

…(._.)

 

 

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1時間ほど仮眠をとったのち、朝焼けの写真を撮るため再び池の前へ。

昨日よりも静かで波のない水面はまるで鏡。

逆さに映し出す剱は実物のそれよりも神秘的に見えた。

 

 

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懐かしい再会に別れを惜しみつつ、仙人池ヒュッテを後にした。

向かう先の背景に後立山

 

 

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仙人温泉小屋から阿曽原温泉小屋までのルートは

夫が通っていた当時と全く違うルートになっていた。

何といてっも1629mのピークから仙人ダムまでの下りの長いこと!

 

暑さと寝不足と20kg体重の増えた夫にとってツライ下り。

ルートも細く休める場所も少ない。

予定の時間からどんどん遅れ、焦る私。

こんな時でも夫はいたって冷静。

焦って無理して動けなくなるより

多少時間が遅くなっても確実に宿に着くことが大事だと諭される。

 

もし夫が動けなくなったら小屋まで助けを求めに行かなくちゃ…

心配性の私の頭はぐるぐるぐるぐる…

ダムから最後の登りを終え、一足先に小屋へ行って連絡することにした。

私が小屋に着いてから30分後、夫も無事到着し

前日、仙人池ヒュッテで同宿だった方々に拍手で迎えられた。

夫がこの小屋に初めてきたのは35年前。

最後に来たのは16年前。

小屋の御主人も覚えていて下さり、嬉しい再会となった。

 

私たちの後しばらくして到着した親子に

宿の御主人がイエローカードだよと注意していた。

私たちも似たようなものだ。

同じ失敗は繰り返すまいと心に誓った。

 

 

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また、来なよ。

小屋の御主人に声をかけられ、夫は嬉しそうに返事をしていた。

いろいろな場所を巡るのもいいけれど同じ場所に何度も訪れる良さを感じた。

私たち夫婦にとって思い出と言えばこのルートと言えるほど

この先何度も訪れるのも悪くないな…

 

 

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阿曽原から欅平まで

それは写真でしか見たことのなかった水平歩道。

切り立った岩壁に溝のように掘られた道を歩く。

 

 

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昨日とは打って変わって、夫は慣れた様子でスタスタ。

 

 

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ビビリハイカーの私は、取りつけられた細いワイヤーを頼りに内心ビクビク。

昨日は私が先を行っては待ち、今日は夫が待ってくれる。

思えばこの20年、こんな感じでやってきた気がした。

 

 

 

 

※最後から5枚目と最後の写真は夫が撮影したものです。

 

 <今日のルート>

 

 

<出会った花たち>

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ミヤマリンドウ(深山竜胆)    ウサギギク(兎菊)

トウヤクリンドウ(投薬竜胆)   アオノツガザクラ(青栂桜)

チングルマ(稚児車)       ダイモンジソウ(大文字草) 

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ヨツバシオガマ(四葉塩竃)    ミヤマキンバイ(深山金梅)

ニッコウキスゲ(日光黄萓)    オオバミゾホオズキ(大葉溝酸漿)

アカモノ(赤物)の実       ミヤマナナコナ(深山飯小菜) 

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ミソガワソウ(味噌川草)       ヤマハハコ(山母子)とアキノキリンソウ(秋麒麟草)

ハクサントリカブト(白山鳥兜)    キヌガサソウ(衣笠草)

                 オオバキスミレ(大葉黄菫)

 

 

 

 

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