赤城のふもとから山歩き

赤城のふもとに居をかまえ、山や花や家族のこと。

霜の尾瀬ヶ原

2020/11/1

 

 

2年前に見た霜の尾瀬ヶ原の景色が見たくて

山ノ鼻にテント泊で前入りしようと思っていたけれど

熊の目撃多発で早々にテン場はクローズ。

夫と鳩待峠を朝4時に出発して、まだ薄暗い尾瀬ヶ原に降り立った。 

 

 

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浮かび上がる燧ケ岳のシルエットと逆さ燧。

 

 

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気温は期待していたほど下がらず

霜のつきは甘いようだ。

 

 

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2年前の景色が稀に見る好条件だったのだと改めて気付く。

 

 

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20年程前に毎年のように撮影に来ていた夫は

その変化を私以上に感じているようだった。

 

 

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温暖化の影響なんだろうな…もう、あの景色は見られないかもしれない。

独り言のように言った一言が、とても寂しそうだった。

 

 

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来年の残雪期に行きたいねとアヤちゃんと約束した景鶴山が

朝陽を浴びて赤く染まる。

 

 

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何十人ものカメラマンがその周りを取り囲んだ

竜宮小屋近くのカメラマンの木とまで言われたシラカバも

かつての賑わいが嘘のように静かに佇んでいた。

 

 

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でも、この時期の、この時間の

ひっそりとした尾瀬ヶ原が私は好きだ。

 

 

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山の端から太陽が顔を出し

 

 

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光を受けて霜がいっせいにキラキラと光りだす。

 

 

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それは同時に魔法がとける合図。

 

 

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真っ白だった世界に少しづつ色が甦り

 

 

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山が目覚める。

 

 

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山ノ鼻まで戻り、ジェットボイルで湯を沸かした。

夫にはカフェオレを。

私はコーンスープを。

 

 

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前日は22回目の結婚記念日だった。

趣味のカメラで知り合った自分たちにとって

何だかとてもぴったりな時間の過ごし方のような気がした。

 

 

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毎年、結婚記念日に同じ場所を訪れるのも悪くないね。

来年もまた来よう。

シェラカップで手を温めながら、そんな会話をする。

 

 

 

そしてもう一度、大霜と言われる景色を見てみたい。

いつか一緒にその景色を見よう。



 

 

 

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