20251009~10
今年の夏山シーズン。
何度かアルプスの山行を計画したものの天気にフラれ続け
あぁ、行けずに終わっちゃうなぁと思っていたけれど
山小屋仕舞いになる3連休を前に
休みと天気と小屋の空きがピタッと一致して
大学院入試の1次試験も終わったし
これは行かなきゃってことで






歩き始めは小雨がまだ降っていて
ゴンドラで相席になった日帰りハイキングの女性と
晴れますよ、大丈夫、大丈夫と励まし合っていたから
青空が広がって、10年に1度くらい当たり年の紅葉と
白馬や五竜の姿が見えた時は嬉しくて
きっと彼女も歓喜の声をあげているだろうなぁと思ったら
さらに嬉しくなって
喜びは分かち合うと、2倍にも3倍にもなるね。




鹿島槍ケ岳から縦走してきたという男性の全身から
達成感と充実感があふれていて
素晴らしい景色だったという言葉に耳を傾けながら
その縦走路に目を向ける。
八峰キレット!
歩きたいという思いが、心の底から湧き上がってきた。

3時に小屋へ戻ってきた。
朝からパンでしのいでいたので、腹ペコだ。
とてもじゃないが、夕飯の5時までもちそうにないと
カップ麺を取り出し、ジェットボイルで湯を沸かそうとしたものの
風の影響でなかなか火が付かない。
隣のテーブルでくつろいでいた若者が手伝いましょうかと
掌で風よけを作ってくれた。
なんとも柔らかい物腰のその若者は
長男より1歳上で、岐阜の牛飼いだという。
そこに、東京でおでん屋を経営している67歳の紳士も加わり
夕飯の後まで3人でお酒を傾けながらいろいろな話をした。
普段なら決して交わることのない住む場所も年齢も違う者同士の会話は
自然と山への想いから人生観といった話になる。
お互い名乗ることもしなかった。
また、いつか山で会いましょうと言って笑顔で別れた。



かいこ部屋は、同じソロの女性とふたりだった。
2日目の朝は少し風が強く吹いていて
これから五竜にアタックするというその女性は、やや不安そうに見えた。
日の出が迫り、空が明るくなり始めたころ
五竜山頂に向かう彼女を見送った。
いってらっしゃい、気をつけて。
私の言葉に、彼女は軽くうなずき微笑んでくれ
その顔は、もう部屋で見た表情とは違うものになっていた。
私も唐松岳へ延びる自分の縦走路へ足を向ける。





まさに、縦走日和。
離れて改めて五竜岳の大きさに感動する。
その奥には、男前な剱岳。
冬毛に変わり始めた雷鳥が私を振り返りながら先導してくれ
またねと言ってハイマツの中に姿を消した。
スライドする人々の顔も晴れやかで
挨拶と微笑みと軽く会釈をし
少しの会話に心が満たされる。
山の素晴らしさに魅了され、もうこの沼からは抜け出せそうにない。


計画では唐松山頂を踏まずに下山する予定だったが
五竜山荘を30分早く出たこともあり
こんな良い日に行かない手はないだろうと迷わずピークへ。
山頂に居合わせた他の登山者と360度の絶景に感動を共有する。
以前、唐松岳に登頂した時はガスで見られなかった白馬へ延びる稜線も
その堂々たる姿を見せていて
あれが不帰の嶮ですかと、聞いてきた若者に
スゴイよねと応えて、しばらく一緒に眺めていた。
きっと、同じ気持ちで眺めていた。



八方尾根は登山者と観光客でごった返していた。
一気に現実の世界に引き戻される。
車回収のために乗った電車に揺られながら
2日間の充実した時間を思い返していた。
なんと素晴らしい山行だったことか!
エスカルプラザの温泉に浸かりながら
2日間の充実した時間を思い返していた。
なんと素晴らしい山行だったことか!
山と出会いに、心より感謝!