2019/7/29~7/30
就寝前に見上げた夜空は、満天の星だった。
明日はいい天気になるぞ、山岳連盟の人が太鼓判を押してくれた。
午前3時に起き、朝食と荷造りを終えて外に出ると
空がぽわんっと赤みをさしていた。
上空の藍色に、三日月が浮かぶ。
避難小屋の裏手に回ると、巻機山の美しいシルエット。
そして馬蹄形の最終ピーク、谷川岳も目を覚ます。
今日はあの峰まで歩くんだ…よしっ!
気合を入れて前を向く。
七ツ小屋山を登る斜面で日の出を迎えた。
腰高の笹原に朝陽があたり、いっせいに朝露が輝きだした。
山岳連盟の人が教えてくれたので歩き初めからレインウエアの下を履いていたが
あっという間に全身ずぶ濡れになった。
でも今日はそれすらも心地よく、楽しい。
この辺りはちょうど馬蹄形の一番奥の部分だ。
写真に納まりきれないのが何とももどかしいが
歩いてきた道とこれから歩く道、馬蹄の全容を見渡すことができる。
ただ標高は1500~1600mなので、白毛門ほどではないがかなり蒸し暑い。
時折吹いてくる風が、とてもありがたかった。
笹の海。
お世話になった山岳連盟のおふたり。
ありがとうございました。
歩き方がゆったりとして見えるのに、上半身はぶれずに速い。
すごいなぁ…あんな歩き方、どうしたらできるんだろう。
谷川岳まで続いている稜線。
まだまだ先は長い。
<メモ>
ハクサンフウロ(白山風露)。
クルマユリ(車百合)。
花トラップに引っ掛かりそうになり
このままではまた計画より遅れRWの時間に間に合わなくなると行動を軌道修正。
武能岳から鞍部に下り茂倉岳への登り返しは、なかなか厳しいものだった。
50歩進んでは一息つき、50歩進んでは一息。
手前の小ピークに到着する時間をそれぞれ決め、目標にした。
途中でスライドする5、6人のシニアのパーティーと休憩が一緒になった。
和菓子を勧めて下さった女性から、岡崎の和菓子店の名前が出て驚いた。
え?その和菓子屋の御夫婦と高校の同級生ですと伝えると
その方の娘さんと私は高校の同級生だったはずだという。
残念ながら娘さんの名前に記憶はなかったが、何という偶然。
口に残る上品な餡の甘さに30年前の記憶がよみがえる。
K君Tちゃん夫妻は元気かな…心にもパワーをもらって再び歩き始めた。
茂倉岳、到着。
谷川岳がぐっと近づいた。
後ろから1日で馬蹄形を回っている若い男性がやってきて
お互いの労をねぎらった。
やはり、ここまで来ると少しホッとするのは皆同じらしい。
ただ彼はその後私の倍速以上の速さで進んでいき
あっという間に姿が見えなくなってしまった。
来年は、あの主脈を歩けるかな…
一ノ倉岳に到着。
いよいよ残るは、あの猫のお耳!
奥の院の手前から、少し雨に降られた。
最後の岩場を慎重に越える。
オキノ耳、そしてトマノ耳…
トマノ耳の標識を見た途端、涙が出そうになった。
両手を突き上げ馬蹄形に向かってヤッターと叫んだ。
肩ノ小屋で休憩することも考えたが
岩場を下り終える熊穴沢避難小屋まで行くことにした。
思った以上に足に疲労がたまっていたのか
少し気が緩んでしまったのか途中の岩場で足を滑らせ転倒した。
そこからは身体を岩の方に向け三点支持で慎重に降りた。
RWの山頂駅に到着し
馬蹄形の挑戦をお互い励まし合ってきた友人に下山の無事をLINEで知らせると
とても成功を喜んでくれ、嬉しかった。
次は彼女の番だ。
私も心から応援している。
多くの出会いに助けられ成功した山行だった。
心より感謝申し上げたい。
ありがとうございました。
そして送り出してくれた家族に、感謝!
いつも、ありがとう。
<今日のルート>
< 出会った花たち>
ノギラン(芒蘭) イブキジャコウソウ(伊吹麝香草)
ホソバヒナウスユキソウ(細葉雛薄雪草) ハクサンオミナエシ(白山女郎花)