赤城のふもとから山歩き

赤城のふもとに居をかまえ、山や花や家族のこと。

群100 三国峠から大源太山

2020/11/8

 

 

群馬県境トレイルも谷川馬蹄形から主脈まで繋がった。

今日は三国峠から群馬100名山でもある大源太山までを結ぶ。

 

 

f:id:JKazy:20201108205508j:plain

 

 

新潟県側はくもり、群馬県県側は晴れと天気の境目になりやすい谷川連峰らしい陽気。

三国山から先に進むとこれから歩く稜線が続き、なんとも心地よい。

 

 

f:id:JKazy:20201108205412j:plain

 

 

紅葉も終盤を迎え、そろそろ冬支度。

 

 

f:id:JKazy:20201108210018j:plain

 

 

去年歩いた新潟の大源太山と同名ではあるが

群馬の大源太山は丸みのある優しい印象。

 

 

f:id:JKazy:20201108205722j:plain

 

 

以前から気になっていた大源太山の先にある黒金山へも足を延ばした。

 

 

f:id:JKazy:20201108205858j:plain

 

 

黒金山へ向かう稜線からは、自分たちが今日歩いて来た道が見渡せた。

山頂ではガスの中から見え隠れする平標と仙ノ倉。

夏の主脈縦走のことが思い出される。

  

 

f:id:JKazy:20201108210245j:plain

 

 

三角山まで戻ってくると平標の山頂が顔をのぞかせた。

まだ結べていない平標山の家から大源太山への稜線は積雪期に歩く予定だ。

雪化粧をした姿を想像し、胸が高鳴った。

 

 

f:id:JKazy:20201108210500j:plain

 

 

三角山から朝貝へ下山。

午後の日差しは、午前の光とはちょっと違う。

 

  

f:id:JKazy:20201108210528j:plain

 

 

やわらかい光。

その日差しとは裏腹に容赦ない急登の激下りが待ち受けていたが

そんなことまでも私たちは笑いながら

陽だまりの中をまるで子供のようにはしゃいだ。

 

 

f:id:JKazy:20201108210726j:plain

 

 

ツルウメモドキ(蔓梅擬) 

 

 

 

<今日のルート>

 

霜の尾瀬ヶ原

2020/11/1

 

 

2年前に見た霜の尾瀬ヶ原の景色が見たくて

山ノ鼻にテント泊で前入りしようと思っていたけれど

熊の目撃多発で早々にテン場はクローズ。

夫と鳩待峠を朝4時に出発して、まだ薄暗い尾瀬ヶ原に降り立った。 

 

 

f:id:JKazy:20201101175104j:plain

 

 

浮かび上がる燧ケ岳のシルエットと逆さ燧。

 

 

f:id:JKazy:20201101175254j:plain

 

 

気温は期待していたほど下がらず

霜のつきは甘いようだ。

 

 

f:id:JKazy:20201101175348j:plain

 

 

2年前の景色が稀に見る好条件だったのだと改めて気付く。

 

 

f:id:JKazy:20201101175428j:plain

 

 

20年程前に毎年のように撮影に来ていた夫は

その変化を私以上に感じているようだった。

 

 

f:id:JKazy:20201101175612j:plain

 

 

温暖化の影響なんだろうな…もう、あの景色は見られないかもしれない。

独り言のように言った一言が、とても寂しそうだった。

 

 

f:id:JKazy:20201101175651j:plain

 

 

来年の残雪期に行きたいねとアヤちゃんと約束した景鶴山が

朝陽を浴びて赤く染まる。

 

 

f:id:JKazy:20201101175746j:plain

 

 

f:id:JKazy:20201101175847j:plain

 

 

f:id:JKazy:20201101180042j:plain

 

 

何十人ものカメラマンがその周りを取り囲んだ

竜宮小屋近くのカメラマンの木とまで言われたシラカバも

かつての賑わいが嘘のように静かに佇んでいた。

 

 

f:id:JKazy:20201101180116j:plain

 

 

f:id:JKazy:20201101180148j:plain

 

 

でも、この時期の、この時間の

ひっそりとした尾瀬ヶ原が私は好きだ。

 

 

f:id:JKazy:20201101180234j:plain

 

 

f:id:JKazy:20201101180315j:plain

 

 

f:id:JKazy:20201101180345j:plain

 

 

f:id:JKazy:20201101180502j:plain

  

f:id:JKazy:20201101180559j:plain

 

 

山の端から太陽が顔を出し

 

 

f:id:JKazy:20201101180656j:plain

 

 

光を受けて霜がいっせいにキラキラと光りだす。

 

 

f:id:JKazy:20201101180749j:plain

 

 

それは同時に魔法がとける合図。

 

 

f:id:JKazy:20201101180837j:plain

 

 

真っ白だった世界に少しづつ色が甦り

 

 

f:id:JKazy:20201101180913j:plain

 

 

山が目覚める。

 

 

f:id:JKazy:20201101180942j:plain

 

 

f:id:JKazy:20201101181018j:plain

 

 

f:id:JKazy:20201101181055j:plain

 

 

f:id:JKazy:20201101181141j:plain

  

 

f:id:JKazy:20201101181231j:plain

 

 

f:id:JKazy:20201101181306j:plain

 

 

f:id:JKazy:20201101181334j:plain

 

 

f:id:JKazy:20201101181447j:plain

 

 

山ノ鼻まで戻り、ジェットボイルで湯を沸かした。

夫にはカフェオレを。

私はコーンスープを。

 

 

f:id:JKazy:20201101181521j:plain

 

 

前日は22回目の結婚記念日だった。

趣味のカメラで知り合った自分たちにとって

何だかとてもぴったりな時間の過ごし方のような気がした。

 

 

f:id:JKazy:20201101181607j:plain

 

 

毎年、結婚記念日に同じ場所を訪れるのも悪くないね。

来年もまた来よう。

シェラカップで手を温めながら、そんな会話をする。

 

 

 

そしてもう一度、大霜と言われる景色を見てみたい。

いつか一緒にその景色を見よう。



 

 

 

jkazy.hateblo.jp

 

 

 

<今日のルート>  

 

 

 

 

群100 ヌクビ沢から巻機山

2020/10/11

 

 

今年歩きたい山のひとつだった巻機山

沢納めを兼ねてヌクビ沢からアプローチ。

 

 

f:id:JKazy:20201013184733j:plain

 

 

カエル君、お邪魔します!

 

 

f:id:JKazy:20201013184822j:plain

 

 

透明度の高い美しい沢を

 

 

f:id:JKazy:20201013184944j:plain

 

 

最初は高巻きしながら見下ろして

 

 

f:id:JKazy:20201013185101j:plain

 

 

スケールが大きくて、まるで日本の風景じゃないみたい。

 

  

f:id:JKazy:20201013185125j:plain

 

 

地球につかまって、よじのぼる。

 

 

f:id:JKazy:20201013185212j:plain

 

 

f:id:JKazy:20201013185336j:plain

 

 

f:id:JKazy:20201013185440j:plain

 

 

身軽なトレイルランナーが私たちを追い越してゆく。

 

 

f:id:JKazy:20201013185539j:plain

 

 

高度を上げるにつれ、紅葉も色鮮やかになり

 

 

f:id:JKazy:20201013185615j:plain

 

 

まるで滑り台のようなスラブも

割れ目に足を突っ込みながら前進!

 

 

f:id:JKazy:20201013185711j:plain

 

 

沢筋が段々細くなり

 

 

f:id:JKazy:20201013185734j:plain

 

 

今シーズン最後の沢を名残惜しみながら

 

 

f:id:JKazy:20201013185828j:plain

 

 

青空と紅葉を見上げて

 

 

f:id:JKazy:20201013185912j:plain

 

 

もっと寒いかなって思っていたけど

 

 

f:id:JKazy:20201013190010j:plain

 

 

寒くもなく暑くもなく

水量も多すぎず少なすぎず

最高の沢納め ♪

 

 

f:id:JKazy:20201013190205j:plain

 

 

沢筋から離れて稜線を目指すと

 

 

f:id:JKazy:20201013190225j:plain

 

 

たおやかな景色へと一変する。

 

 

f:id:JKazy:20201013190408j:plain

 

 

おつかれさん! 

 

 

f:id:JKazy:20201013190530j:plain

 

 

稜線の登山道に合流。

 

 

f:id:JKazy:20201013190606j:plain

 

 

そこから巻機山に向かう道が

 

 

f:id:JKazy:20201013190718j:plain

 

 

黄金色。

 

 

f:id:JKazy:20201013190810j:plain

 

 

f:id:JKazy:20201013190841j:plain

 

 

f:id:JKazy:20201013190912j:plain

 

 

f:id:JKazy:20201013190954j:plain

 

 

f:id:JKazy:20201013191148j:plain

 

 

f:id:JKazy:20201013191212j:plain

 

 

後ろ髪を引かれつつ下山開始。

 

 

f:id:JKazy:20201013191249j:plain

 

 

今年の沢はこれでおしまい。

 

 

 

 

<今日のルート>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八ヶ岳 編笠山と権現岳 1泊2日

2020/10/3~10/4

 

 

今年はまだ訪れていない八ヶ岳と、一度も張れていないソロテント。

この二つの想いを叶えるために選んだ場所は青年小屋のテント場。

観音平から登り上げ、今日の寝床を確保して

まずは編笠山へ!

 

 

f:id:JKazy:20201004181606j:plain

 

 

ゴロゴロした岩場をピョンピョンと移動して

ふっと振り返ると明日登る権現岳と青年小屋。

 

2年程前から続いていた体調不良の原因がやっと判明して

体質改善を始めてから随分と調子が良くなった。

思うように身体が動く…なんてありがたいことだろう。

 

 

f:id:JKazy:20201004181645j:plain

 

 

薄曇りだから眺望はあまり期待していなかった。

その予想は嬉しいことに見事にはずれ

目の前には南アルプスの山々が堂々と姿を現していた。

今年は行けなかった南アルプスだけど

今まで歩いた北岳鳳凰三山甲斐駒ヶ岳仙丈ケ岳

その姿をここから見られたことが、とても嬉しい。

 

 

f:id:JKazy:20201004181722j:plain

 

 

北アルプスや頸城山塊も。

北アルプスの中でも双耳の鹿島鑓は見分けられるようになった。

山座同定はまだまだ苦手だけれど、少しずつわかる山が増えていくのは嬉しいものだ。

 

 

f:id:JKazy:20201004181746j:plain

 

 

そして、この御方も。

貴方に会えれば、どんな天気の山歩きだって大満足しちゃう ♪

 

缶ビールを買って、小屋前のテーブルで早々に夕飯のおでんをツマミながら飲み始め

同年代の横須賀からいらしたという小屋泊まりの男性と 

山の事や家族の事などおしゃべりをして楽しい時間を過ごすことができた。

普段は長男にからかわれるほど人見知りな自分だけど

山はいつもとは違う自分が顔をのぞかせるような気がする。

 

 

f:id:JKazy:20201004181822j:plain

 

 

先日、中秋の名月だったお月様は

この夜も朧月夜ながらテント場を煌々と照らしていた。

 

夜明けを待って権現岳に向かう。

昨日より厚みを増した雲に眺望は絶望的かと思われたが

富士山だけは静かに佇んでいた。

 

 

f:id:JKazy:20201004181909j:plain

 

 

山頂へ向かうにつれガスは濃くなり、辺りは真っ白。

足元の紅葉がより鮮やかに感じられる。

 

 

f:id:JKazy:20201004181943j:plain

 

 

もう笑ってしまうほど真っ白(^^ゞ

見たかった山頂の剱が見られたので、本日は満足!

楽しみは小分けがいいんだ(と、言い聞かせる)

いつの日か三ツ頭の方から再訪しよう。

 

 

f:id:JKazy:20201004182015j:plain

 

 

テントを片付け、観音平への帰路へ着く。

 

苔にカメラを向けるも

もう少し光が欲しいなぁ…と思っていると

 

 

f:id:JKazy:20201004182055j:plain

 

 

カラマツの森に陽が差し込んで

 

 

f:id:JKazy:20201004182301j:plain

 

 

ようやく八ヶ岳に来たなぁと実感(笑)

 

 

f:id:JKazy:20201004182404j:plain

 

 

光に誘われ雲海展望台からは往路とは違う森の中へ…

鮮やかな楓の紅葉に目を奪われた。

 

山も人も一期一会。

写真には残せなかったけど

ルリビタキミソサザイ、リスにも。

すべての出会いに、送り出してくれた家族に

本日も感謝、感謝。

 

 

<今日のルート>

 

 

 

 

 

<体調不良について>

ブログ上でも幾度となく触れてきた体調不良。

たまたま目にしたネットの記事が自分の症状とぴたりとあてはまりました。

どうやら原因は腎臓機能が弱い自分が過度の糖質制限をしたことによって

低T3症候群に陥ったことが体調不良の原因だったようです。

私は医師ではないので、ここで専門的なことを安易に書くことは控えようと思いますが

もし、糖質制限をして体重の増加や体調不良に悩んでいる方は

一度疑ってみるといいかもしれません。

 

 

 

 

尾瀬 荷鞍山を目指して

2020/9/27

 

 

尾瀬と言えば、尾瀬ヶ原尾瀬沼が有名どころだ。

山で言えば、至仏山や燧ケ岳。

しかし、センノ沢を歩いて観光地ではない尾瀬の姿に触れることができた。

 

皿伏山からほど近い荷鞍山という山の存在を知って

調べてみると、少ないながらも登頂記録があった。

そんな折、アヤちゃんから荷鞍山へのお誘いが(笑)

やっぱり気になるよねぇ(^^ゞ

 

 

f:id:JKazy:20200927213530j:plain

 

 

f:id:JKazy:20200927213613j:plain

 

 

f:id:JKazy:20200927214145j:plain

 

 

富士見下が尾瀬へのメインルートの入口だった頃

400人を収納可能だった富士見小屋。

 

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。

娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。

 

そんな文句が頭をよぎる。

 

 

f:id:JKazy:20200927214235j:plain

 

 

まずは草紅葉で金色に染まった小さな湿原を横切りながら白尾山へ。

 

 

f:id:JKazy:20200927214845j:plain

 

 

巡視路へ繋がる秘密の入口を見つけて

いざ、荷鞍山!

 

 

f:id:JKazy:20200927215032j:plain

 

 

山頂手前で見上げると少し青空が広がっていて

ほんのり黄色がかった緑に散らしたような紅葉が透けて綺麗だった。

 

 

f:id:JKazy:20200927215216j:plain

 

 

苔も秋色。

 

 

f:id:JKazy:20200927215253j:plain

 

 

晴れていれば、素晴らしい眺望が広がっているそうだが

残念ながらあいにくのこの天気。

それでも、少しガスが切れ秋色に染まり始めた山々と

戸倉の街並みが垣間見えた。

 

 

 

 

 

 

<今日のルート> 

 

 

赤城 夫と長七郎山

2020/9/22

 

 

f:id:JKazy:20200922202445j:plain

 

 

新しい山靴の履き馴らしと夫の山トレを兼ねて

すっかり秋めいてきた赤城の長七郎山へ。

 

 

f:id:JKazy:20200922202523j:plain

 

 

何、撮ってるの?

 

 

f:id:JKazy:20200922202614j:plain

 

 

きのこだった!

すかさず私も撮影する。

 

 

f:id:JKazy:20200922202648j:plain

 

 

この時期、花も少なく紅葉にはまだ早いので

きのこモデルはありがたい ♪

 

 

f:id:JKazy:20200922202746j:plain

 

 

でも、なかなか手強い。

 

 

f:id:JKazy:20200922202822j:plain

 

 

歩くには気持ちのよい気温と風に救われたのか夫も快調に歩いて

無事、ススキの揺れる長七郎山に登頂。

 

 

f:id:JKazy:20200922202918j:plain

 

 

ヤマラッキョウ(山辣韭)。

 

 

f:id:JKazy:20200922203004j:plain

 

 

下山は小沼側へ。

 

 

f:id:JKazy:20200922203037j:plain

 

 

格好の良い古木にしばらく立ち止まり

 

 

f:id:JKazy:20200922203111j:plain

 

 

ふたりで何となくタイミングを計りながら

交互に撮影していたんだけど

 

 

f:id:JKazy:20200922203200j:plain

 

 

こういう同じ被写体を撮るのって結構酷で

後で見比べて凹むパターンだ。

 

夫の撮った写真は自分の撮った写真と一緒に並べるのが嫌で

後日、別の記事にすることにした(._.)

 

 

f:id:JKazy:20200922203245j:plain

 

 

美味しそうなキノコ(*´ω`*)

 

 

f:id:JKazy:20200922203311j:plain

 

 

雪山用に皮の山靴のソールを張り替えるかなぁと夫。

え、 雪山も行くの?って一瞬思ったけど(笑)

まぁ、いいかって(^^ゞ

このルート、積雪期もなかなかいいんだよね。

 

最近、ソロで山を歩く機会が減ったけど

山に今はそういう時だよって言われている気がして

風に吹かれてゆれるススキのように歩いていこうと思う。

 

 

 

<今日のルート>

 

 

 

 

 

 

 

夫と歩く唐松岳

2020/9/5~9/6

 

 

夫の希望だった唐松岳

留守を息子たちに任せ、ふたり出かける。

 

 

f:id:JKazy:20200907033319j:plain

 

 

出発前、黒菱駐車場から朝陽に輝く白馬の山々が見え

リフトの運行開始を待たずに歩き出すことにした。

 

 

f:id:JKazy:20200907033859j:plain

 

 

しかし、少し登った場所から雲海広がる絶景を前に

初っ端から足が止まり撮影会となる。

 

 

f:id:JKazy:20200907033543j:plain

 

 

浮かび上がる頸城山塊。

 

 

f:id:JKazy:20200907034540j:plain

 

 

ひとつ目のリフト終点まで登ってきた夫が既に大量の汗をかきながら

次のリフトを運行開始まで1時間待って乗るというので

私はひとり登山道を歩いて登り、リフト終点で夫の到着を待つ。

朝はあんなにクリアだった白馬の方にも雲がかかり始め

八方池に映る姿が写真に収められるかハラハラ。

なんとか間に合った…かな?

 

ここまでは母と25年程前にハイキングツアーで訪れたことがある。

八方池より先に続く道をいつか行ってみたいねと話した場所だ。

四半世紀を経て、ようやく願いを叶えることになるとは

我ながら気が長い。

 

 

f:id:JKazy:20200907034631j:plain

 

 

次第に夫の歩みがゆっくりになる。

5分歩いては立ち止まり、5分歩いては立ち止まる。

歩き始めはキツイものだ。

30分歩いてから休憩しようよと声をかけるが

身体が思うように動かないらしい。

 

扇雪渓で昼食をとる。

おなかを満たした夫はタオルを顔にのせ、しばし仰向けに横になった。

隣では小学生の男の子とその父親が休憩していて

私は微笑ましくその様子を眺めていた。

 

子供たちが幼かったころ

テントや食料を一手に引き受けて背負ってくれたのは夫だった。

9月は夫の誕生月。

唐松岳に行きたいという希望は何とか叶えてあげたかった。

休憩の後、夫の三脚を引き受ける。

 

 

f:id:JKazy:20200907034706j:plain

 

 

食後は私が先を歩いた。

およそ3キロの三脚分が軽くなったおかげか

夫の歩くペースも速くなった。

 

あと、もう少し。がんばれ、夫!

 

  

f:id:JKazy:20200907035212j:plain

 

 

ガスで真っ白になった景色に赤い唐松岳山荘が建っていた。

よかった…予定どおり午後2時到着。

 

生ビールで乾杯。

 

 

f:id:JKazy:20200907035654j:plain

 

 

山荘の外で湯を沸かしていると

ガスの中を見え隠れしていた唐松岳山頂が全貌を現した。

 

行くなら、今じゃないか?

夫も行っておいでよと水筒を手渡してくれた。

慌ててサンダルから登山靴に履き替えピークを目指す。

 

夫はもとより行く気がないらしい(笑)

過去2度の唐松岳も1度もピークは踏んでいない。

そんな奴はいないだろうと何故か誇らしげに語っていた。

 

 

f:id:JKazy:20200907035807j:plain

 

 

目の前にはどっしりとした五竜岳の姿。

 

 

f:id:JKazy:20200907035909j:plain

 

 

唐松岳の山頂から白馬三山へのルートが見え隠れして

どんな道が続いているのだろうかと想像をかき立てられる。

ずっと歩いていられたらな…そんな風に思うことがある。

ランナーズハイがあるように

イカーズハイという言葉もあるのだろうか。

すごく苦しい思いをして歩いても

下山した瞬間から次の山を欲している。

 

 

f:id:JKazy:20200907040039j:plain

 

 

夕食後、期待していた夕日は望めそうになく

大奮発した個室の窓から外を眺めた。

 

次第に天候は荒れ、雷雨と暴風がやってきた。

せっかく重い三脚を担いできたというのに星空の撮影も叶わず

朝になっても風が強く、渦巻くガスに日の出も望めず。

 

しかし、夫はこれは台風の風じゃないといい

日が出ればガスがあがり晴れ間も見えるだろうという。

その言葉をにわかに信じられないまま

やや風がおさまったところで下山を開始した。

 

 

f:id:JKazy:20200907040147j:plain

 

 

あ、本当だ…

下山を開始して間もなくガスがどんどん上へ上へと登っていく。

 

 

f:id:JKazy:20200907040243j:plain

 

 

昨日の歩きとはまるで別人のように

夫の動きが撮影ポイントを求めて素早くなる。

 

 

f:id:JKazy:20200907105339j:plain

 

 

長男と変わらない年頃の青年が夫に何か尋ね

山頂に踵を返して駆け上がっていった。

 

この晴れ間は山頂に戻るまでもつだろうかと聞かれたらしい。

この晴れ間のあとは徐々に天気は下り坂だが

このままじゃ消化不良だろうと背中を押したようだ。

 

彼の行った先を見つめ、自分の足じゃ戻ろうとは思わないけどねと笑った。

 

 

f:id:JKazy:20200907105437j:plain

 

 

所属する写真団体の事務的な仕事が増え

夫は一時写真をほとんど撮らなくなっていた。

こうして、また作品作りを始めてくれて本当によかったと思う。

 

 

f:id:JKazy:20200907105609j:plain

 

 

ただ、山に写真を撮りに来たいなら

ダイエットと体力づくりはしてください。

 

 

f:id:JKazy:20200907105654j:plain

 

 

空の色も雲の動きもスゴく素敵だったので

気付けばいつもより空多めに撮っている私。

 

 

f:id:JKazy:20200907105755j:plain

 

 

雲が再び空を埋め尽くし

ぽつぽつと雨も降りだした。

 

夫の読みどおりだ。

 

 

f:id:JKazy:20200907105852j:plain



あの青年が戻ってきて私たちを追い抜いて行った。

去り際に「なんとか間に合いました!」と笑顔で報告してくれ

夫ははにかむように笑い

走り去っていく青年の後ろ姿を優しく見送った。

 

 

f:id:JKazy:20200907105942j:plain

 

 

驚いたことに、ほぼコースタイムで下山。

 

エムウェーブに息子達を何年も送迎した懐かしい長野の街並みを抜け

家路についた。

 


 

 

<今日のルート>

スマートウォッチ電池切れにて、往路の途中までです。