赤城のふもとから山歩き

赤城のふもとに居をかまえ、山や花や家族のこと。

父 旅立つ

 

 

 

 

2024年1月1日。

父は旅立った。

 

告別式を終え、組まれたばかりの祭壇の前で

夫がごろりと横になる。

その労をねぎらうかのように

息子達が無言でその両脇に寝転がった。

 

息子達への愛情の注ぎ方をみれば

夫がいかに父に愛されて育ったのかわかる。

棺が閉じられる前の最後の別れ。

夫は絞り出すような声で「おつかれさまでした」と声をかけた。

 

メモリアルコーナーの写真を選んでいると

父が母の口に、あーんと入れてあげている写真や

ふたり乗りの自転車に乗って笑っている写真や

父と母の仲睦まじい写真がたくさん出てきた。

生前、ふたりと一緒にお昼を食べている時も

夫婦漫才のような喧嘩を目撃することがよくあり

クスクス笑いながらその様子を眺めていたものだ。

 

母が亡くなったのも1日だった。

なんだか、今なら同じ月命日になるからと

母が父を迎えに来たような気がする。

 

私は大学進学のため18歳で親元を離れたので

26歳で結婚して25年。

実の親よりも長く一緒に、そして何度も

父をお父さんと呼び、母をお母さんと呼んだ。

 

大変お世話になりました。

ありがとうございました。